レトロウィルス(retorovirus)は,感染するときに自らの遺伝情報を寄生主のDNAに転写する能力を持った種類のウィルスです。それらが大昔,我々人類の祖先の配偶子に感染し,その遺伝情報が子に伝わると―体細胞に感染したとしても子に遺伝することは少ない―,ゲノム上に乗った(内生の)レトロウィルス,human endogenous retroviruses(HERV)として受け継がれています。
VillejuifのGustav Roussy研究所のThierry Heidmannらは,HERVの断片を使い,映画『ジュラシックパーク』のように500万年も昔のウィルスを復活させるのに成功ました。
ある腫瘍の細胞は,レトロウィルスのタンパク質やそれ全体を含んでいることから,それらは何らかの関係がある可能性が考えられます。
この研究で,ゲノムに乗っているウィルスの断片をいくつか組み合わせることで,ウィルスのゲノムが復活する可能性があることがわかりました。このことから,病気の突然の流行も,これらに起因している可能性もあります。
自分たちは生まれながらにしてすでに時限爆弾を抱えているようなものなのでしょうか。自分の体の中に太古のウィルスの名残があるというのはなんとも不思議なものだと思いました。